ベトナムは日本と比べて祝日が非常に少ないのですが、祭日は非常に多いことで知られています。
日本では祭日と祝日の違いは明確ではありませんが、祭日は宗教的儀式を行う日、もしくは行っていた日、もしくは文化的な記念日となりますので基本的には休日ではありません。
ベトナムでは新暦・旧暦を元にした祭日の数は年間約50日もあり、伝統的なものから海外から取り入れたものまで様々です。
また、各地域における祭りやイベントまで含めると年間約8000もの祭日があります。
そこで今回はベトナムの祭日「寒食節」についてなどの情報を見ていきましょう。

寒食節とは?

寒食節は、「かんしょくせつ」「かんじきせつ」などと呼び、東アジアの年中行事です。
成り立ちは古代中国にあり、現代においてはベトナムや韓国などで農耕の始まりを祝うと共に、祖先を祭り墓参りなどが行われています。

一方で中国では清明節に吸収される形で、元の寒食節はほとんど消滅していると見て良いでしょう。
元々の成り立ちは、紀元前636年、介之推、介推、介子とも称される春秋時代の晋・文公の臣下だった介子推が焼死したことによって、その弔いとして「火を使わない」としたことから冷たい食事だけで過ごすようになったことが始まりだったといわれています。

この伝説は、晋の文公に仕えた介子推は論功行賞に漏れたことをキッカケに、母親と共に綿山に隠棲し、文公からの呼び出しに応じずにおり、文公は介子推を下山させるために綿山に火を放ったものの、介子推は母親を抱いたまま山中の洞窟で焼死したことが元になっています。

それを憐れんだ文公は山に廟を建てて介子推を祀り、命日から3日間は火を使わずに命じ、これが寒食節になったといわれているのです。

寒食節の歴史

寒食節は紀元前からあったため、時代と共に大きく変化しています。
六朝期には、曹操が「太原など北方で冬至後の105日間にわたり寒食のために火を使わないと聞くが、特に幼児や高齢者への負担が大き過ぎるため寒食は不可とする」という命を発しています。

同時期の書物では、「井州内で行われえる地方風俗としての認識」「寒食で火を使わない期間は当初1ヶ月だったものの、死者が続出したことで6世紀の梁の時代には3日間に短縮された」といった記述がみられます。

また、6世紀頃の「荊楚歳時記」には「冬至を去ること105日間を寒食といい、3日間火を使わずに冷えた飴湯と大麦の粥を食べる」という記載もあります。

隋や唐の時代に入ると、特に中期以降に漢詩の題材として寒食が多く取り上げられました。
嶺外には寒食がないことや、初唐期の江南における寒食があったことなどを伝えています。
また、北方や中原だけではなく浙江省周辺にまで寒食節の風習が伝わっていたのです。

また、8世紀の開元年間には玄宗によって寒食節に墓参りをすることが勅許され、10世紀半ばの後周では墓で紙銭を焼いていたとの記述もあります。

宋代以降には、西域のトルファン盆地にまで寒食節が伝わり、9日間に」わたって行われていたといいます。
明代に入り、禁火の習俗が廃れると共に寒食は名称が実態と合わなくなってしまい、中国では冬至後105日目の清明祭に統合されていきました。

しかし、一方でベトナムや朝鮮などでは寒食節が現代まで連綿と続きました。

ベトナムでの寒食節は?

ベトナムでは、祭日の中でもこの寒食節は重要な位置を占めています。
ベトナムの寒食節は旧暦の3月3日となりますので、年によって新暦での月日が違ってきます。

寒食節は説明してきた通り、中国故事に由来しており、ベトナムでは祖先を偲び、火の気をあらかじめ調理された「バインチョイ(Banh Troi)」や「バインチャイ(Banh Chay)」などを食べて過ごす習慣があります。

「バインチョイ」は黒佐藤を米粉で作った生地に包んだお菓子です。
日本で言うと白玉団子に非常に似ています。
また、「バインチャイ」はバインチョイよりも、かなりサイズが大きく、中に緑豆の餡を入れてシロップに浸して食べるものです。
どちらも甘味が強いので、食事という感じではありませんね。

基本的には伝統的な食べ物ですが、最近では少し趣向が変わってきており、色を付けてカラフルなものも出てくるようになってきました。
ちなみに「バイン」というのは「粉もの料理」を指す言葉です。

寒食節は、ベトナム全土で行われるわけではなく、ハノイを中心としたベトナム北部の慣習としてあるものです。
寒食節の時期になると、市内の通りの多くでバインチョイやバインチャイが販売されるようになります。

ですが、近年は寒食節ではなくても名物としていつでもバインチョイやバインチャイを買うことができるようになっていますので、ベトナムを訪れた際には試してみるのもアリですね。

まとめ

今回はベトナムの祭日「寒食節」についてなどの情報を見てきました。
ベトナムでは重要な祭日の1つ寒食節ですが、起源となった中国では廃れてしまった祭日です。
ですが、ベトナムだけでなく韓国や朝鮮で現在も行われている祭日ですので、それぞれの土地の特色を比べてみるのもいいかも知れません。

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