ベトナム人女性の就業率について

国際労働機関(ILO)ベトナム事務所の新たな調査報告によると、ベトナムの女性就業率は70%以上であり、これは世界平均の50%未満を大きく上回る数字です。

ベトナムにおいて女性の労働環境は改善されつつあるものの、男女間の雇用機会や労働時間において依然として不平等が存在しています。

ILOベトナムの報告書によれば、労働年齢に達している女性の70%以上が就業しており、これは世界平均の47.2%やアジア太平洋地域の平均43.9%を大幅に上回っています。

しかし、男女間の就業率の差は約9.5%で、過去10年間この数値に変化は見られていません。これは世界的に見れば男女格差が小さいとされるものの、依然として根強い問題です。

2018年の労働雇用調査によると、経済活動に従事していない女性の約半数が「個人または家族の問題」をその理由に挙げている一方で、男性の場合はその割合が18.9%に過ぎません。

このことから、家庭や家族の責任が女性に集中している現状が浮き彫りになります。

さらに、報告書は経営幹部や管理職における女性の割合が低いことを指摘しています。ベトナムでは、女性が労働力の約半数を占めているにもかかわらず、管理職に占める割合は約25%にとどまっています。

たとえば、政府機関では女性幹部の割合が29.7%で、男性が70.3%を占めており、外国直接投資(FDI)企業でも女性の管理職割合は34.1%に対し、男性は65.9%です。

家事負担の面でも、女性は男性より大きな負担を負っています。女性は平均して週に20.2時間を家事や家族の世話に費やしているのに対し、男性は平均10.7時間しか費やしていません。さらに、男性の約20%は家事に全く時間をかけていないという状況です。

また、新型コロナウイルスの影響で女性労働者の就業状況も変動しました。2020年第2四半期の女性の週間労働時間は2019年第4四半期と比較して88.8%まで減少しましたが、これは男性の91.2%と比べても低い数字です。しかし、2020年末には女性の労働時間は前年同期比で0.8%増加し、回復の兆しが見え始めました。

ILOベトナム事務所の労働経済専門家、バレンティーナ・バルクッチ氏は「女性は家事に多くの時間を費やす必要があるため、仕事の時間の負担が男性よりも大きくなっています」と述べています。

また、ILOベトナムのチャン・ヒー・リー博士は、「労働市場での男女不平等の根本的な原因は、女性に期待される伝統的な役割に対する社会的な圧力にある」と指摘しています。

報告書は、2019年に改正された労働法により、定年退職年齢の差の縮小や女性の職種制限の撤廃など、男女格差を是正するための政策が進められていると述べています。

しかし、ベトナム社会全体として、男女の労働市場での平等を実現するためには、男性だけでなく女性自身の意識変革も必要であると強調しています。

 

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